この記事は文字ばかりのクソ長ポエムです。
休憩を挟みながらお読みいただくか、ナナメ読みどころかほぼ縦読みでもして満足してください。
この記事は、Fediverse (4) Advent Calendar 2024の5日目です。
2日連続でお邪魔しております。すみません。
前編はこちら。
後編では、技術よりもSNSユーザーの目線にシフトしてみます。
去年の記事では、以下のように記述しています。
Xという牙城は来年も崩れず、共存しつづけるものと思います。
これは当たっていますね。
現時点で、やはりXの権威は、すくなくとも日本においては維持しているもののように思えます。
億が一、牙城が崩れたとしても、流れる先は大手が運営する代替サービスかと思っています。
Threadsや、そもそもInstagramだとか。我々ActivityPubはXの受け皿というわけではなく、「もう一つの世界」を作ることになるかと思います。
前半は違いそう。
たしかにThreadsは現在伸びていると聞いていますが、それよりもBlueskyの伸びがすごかったですね。
ThreadsはFacebookから強引に誘導させることができますが、Blueskyは純粋な集客力で集めました。
後半の、ActivityPubは「もう一つの世界」を作っている、というのは合っていそうです。
AI問題
また、この記事執筆時点では、Xのイラスト界隈は荒れに荒れています。大混乱状態。
まず、生成AIに関連する現時点の私の考えを置いておきます。
(技術的には「AI」「生成AI」とひとくくりにするのは少し抵抗がありますが、分かりやすさのため本稿では一般的に「AI」と呼ばれる範囲を「AI」とします)
まず、技術的には、どこのサイトに逃げようとも同じことです。
機械学習の素材となることは技術的に避けられず、
また現時点の日本国の法律においては、
現状のAIの動向上は特段違法ともいえません。
(実用・商品化のレベルはまだまだ遠い、研究段階だと思います)
Xは、「プラットフォームを提供するXが直接拾います」宣言をしたから問題になっただけで、
(実は前から拾ってたんですけどね)
Grok以外のプラットフォームを持たないAIは、それ以外の場所からデータを拾っているわけです。
GrokもXからしか収集しないとは言ってないはずですしね。
「それ以外の場所」は明示するAIはいないでしょうが、おそらく広いインターネットを全般的に指すでしょう。
Xではエンジニアと称する人が何人か主張しているのを見ますが、
誤りも多く見られるので、ここで私目線からの補足をば。
BlueskyはAPIがあるからキケン、XはAPIがないから安全
→誤り。
Blueskyはプラットフォームで学習することはないと宣言しており、Xは学習すると宣言している。
ポストの土台からひったくる(というのをいま改めて明言した)のがXの今回の規約である。
また、Grok以外のAIがXのデータを拾う場合、わざわざAPIは通さないと思われる(Google検索とかね)。
同じ理由でBlueskyも同レベルで危険であり、どっちもどっちである。Blueskyが存外安全というわけではない。
画像にノイズを載せるとよい
→私はディープラーニングの専門家ではないので、詳しいことは分かりかねるけれども…
詳しい人の発言をチラ見するに、どうやら部分的に誤りらしい。
古典的な学習方法では正解なのだが、現在はノイズぐらいは突破できるとのこと。
たしかに実用性から考えても、手ブレしてる写真を復元するならノイズは突破できないと困るなぁ。
なので、多少の効力はあるかもしれないが、手間暇や自分の作品への愛によっては必要度は変わるかもしれない。
なお、BOT避けとして「ノイズがかった画像に書いてある文字を入力する認証」が廃れた理由は、その程度のノイズは機械で容易に突破できるからである。そこからも察せられる。
BlueskyやMisskeyは分散しているので、消そうと思っても削除できない
→私の現状の技術面での認識では、Blueskyについては部分的に誤りで、Misskeyについては正しい。
Blueskyは「分散」してはいるものの、あなたの投稿が無数に撒かれるわけではない。1サーバーに留まる…はず。
Misskeyは「分散」しているので、すなわちそのサーバーと連合をしている別サーバーに投稿が連携されるので、そちらのサーバー上にコピーされるはず。
Misskey・Mastodonを連合する仕組みである「ActivityPub」の実装の問題点として、削除する際は全サーバーで削除するのが理想とされてはいるが、必ずしもそれを守らなくてもActivityPubを名乗れる点がある。
つまり、削除のシグナルを送っても削除しないサーバーが、存在しないとはいえないのである。
現在のところ、有名インスタンスでそのようなサーバーは聞かないだけ。
…そしてそれとは別として、インターネット上に出たコンテンツは、遅かれ早かれどこかで魚拓をとられてしまう。
Google検索のキャッシュなのか、InternetArchiveなのかは分からないけれども、遅かれ早かれとられる。
つまり、BlueskyはBlueskyの仕組みとして削除できるが、インターネットという広い海から消えるかどうかは確約できないのだ。だから「部分的に誤り」とした。
これは個人ホームページに上げたとしても同じである。
個人ホームページから消したとしても、インターネットから消えるかどうかは分からない。
…おそらく、消えないと思ったほうがいい。
BlueskyはXよりも表現規制が厳しく、すぐ凍結される
→概ね正しい。
Xがアメリカのくせに無法地帯なだけで、アメリカ全体としてはBlueskyのレベルが標準。
日本人とアメリカ(というか海外)の「エロ」「ポルノ」の基準はかなり乖離している。
幼女系とか青少年系のアニメが日本で発達したのは、海外では規制にひっかかるからである。
とはいえ、Blueskyも正しくラベリングをつけると一発BANは免れるというのはぜひ覚えていただきたい。
Xが無法地帯なだけであり、BlueskyもMisskeyもMastodonも「画像を伏せる」という機能があるので、
海外の規制にひっかかる画像は積極的に伏せるべきである。
その点Misskeyのほうが緩い
→部分的に正しい。
誤っているのは、それはMisskeyの個々のサーバー(インスタンス)の話であるということ。
.io、.design、にじみすなど無数の「Misskey」を使ったSNSが存在するので、どのサーバーのことを言っているか認識をしよう。
ただ、どこであれ、おそらく日本人が運営をしている日本人向けサーバーであれば、規制基準は日本の基準である。(なお、io、design、にじみすはいずれも日本人が運営している。)
日本人の肌感覚でダメなものはダメ、いいものはいいとされる可能性はありえる。
(私がモデレーターをしている いかすきーもMisskeyの1つだが、おそらくBlueskyよりは甘い裁定になっている)
各サーバーでガイドラインを定めているので、それを熟読して、塩梅を見定めるべきである。
幸い日本人が運営をしている日本人向けサーバーであれば、おそらくガイドラインは英語ではないので、読みやすいだろう。
技術的には、もう世の中としてはこうなった以上、逃げ場はないものと思います。
逆に、いままで逃げ場があっただけよかったのだと思ってもらえたらいいかなと思います。
たとえばドラえもんは22世紀から来たロボットであり、自律して動く…ということはたぶん所謂AIが入っていると思われますが、あの挙動をするためには、おそらく人間が作り上げたあらゆる叡智をかき集めたデータベースが入っていないと厳しいでしょう。
技術の世界は着実にドラえもんの方向へ進んでいるのですから、「人間が作り上げたあらゆる叡智をかきあつめ、ロボットが使う」のは時間の問題ではありました。
それが、2020年代半ばだったというだけです。
…ということはエンジニアという立場で言いたいのですが、私はエンジニアの中でもどちらかといえばユーザー側に傾いたエンジニアなので、ユーザーに近い立場で技術者に言いたいことはあります。
それは、次の段落の結びと同じなので、そちらに取っておきます。
SNSで必要な「技術者倫理」
生成AI問題についてはこのぐらいにして、本題に移ります。
そもそもSNSってなんでしたっけ。
Social Networking Service の頭文字です。ソーシャル・ネットワーキング・サービス。
Socialとは、「社会の」「社会的な」という意味です。
ここでいう社会は、「人と人とのつながり」というニュアンスです。
ソーシャルディスタンス(英語ではsocial distancingらしい)のソーシャルも、「人と人(の距離を開けろ)」ですよね。
人と人とのつながりを、ネットワーキング…なので、しっかりとつなげるサービス。
これがSNSです。
第2の「街」とも呼べるでしょう。
実際、むかしにmixiが流行ったときも、現実の街とは違う距離で接せられる「街」になりました。
Twitter黎明期も、人と人とが仲良くなり、リプライで語り合い、オフ会に至るという、まさに社会を作り上げていましたよね。
現実世界の町内会とは違う、全く新しい街。
現実では遠い人同士がつながりあう世界。
これがSNSです。
つまり、SNSでのトラブルというものは、つまり人間関係でのトラブルです。
人間関係のトラブルの対応方法を考えると、SNSで起きるトラブルの対応はおおむね可能といえます。
人間関係のトラブルで一番多いのは、感情が摺り合わないことでしょう。
「嫌だと言ってるのにやめてくれない」。
相手がやっていることが正しいとしても、されている側が嫌なら、それは嫌です。ダメです。
とはいえ、やっている側は正しいと思ってやっているので、なかなかやめてくれない。
リアルの人間関係でも、よくありますよね。
こうなってしまうと、どちらかが折れて心に傷を残すか、破局するか以外の方法がないです。
世界的に見ると、X離れが進んでいるという話は既に有名です。
一番の理由は経営者への不信でしょう。
つまり、市長が信用できないのです。
しかも市長は金持ちでなんでもできてしまうので、市長の権限で思い通りにします。
市長の政治的主張を垂れ流せるし、市長の主張に反する市民を消すのも自由自在。
だからこの市から出て行ってやろう、というのが今のムーブメントです。
Xの受け皿となるSNSにあっては、「あの市長が嫌だからうちの市に集まっている」のは認識するべきです。
あの市長のような悪政は繰り返しません、この市にいる限りあなたを守ります、というようなケアは必要でしょう。
とはいえ、市民はその市長が権力を振りかざして県、あるいは国を変えてしまう可能性も認識するべきです。
つまり、「SNSは安心することができない場所だ」というふうに植え付けるのも、一時は市場を独占したSNSの経営者なら可能でしょう。
また、いかに市長が優しくても、治安が悪ければ「なんとなく住みたくない」と思ってしまいます。
たとえ警察署があるとか、犯罪者は確実に検挙されるとかだと言っても、事実として犯罪が起きているのであれば「嫌だなあ」と思ってしまうのが人間です。
つまり、画像を投稿してもその画像が機械に盗まれるかもしれないというのは、非常に強力な嫌悪感に結びついているものと思います。
まさに治安が悪化しています。
前の段落で「技術上仕方がない」と言っていますが、これは「技術上、刀で人を殺すのは誰でも容易なのは仕方がない」と言っているのと同じです。
そして、なんと刀で人を殺すのが横行する時代になってしまった という話です。
市民としては、心はなんとも落ち着かないでしょう。
しかしそういう時代になってしまったのであれば、どこに逃げても同じです。
鉄板の入ったスーツを身に着けるとか、戸締りをしっかりするとか、そういう方向で身を守らざるを得ません。
「殺人罪」という法律で、「人を殺した者」を処罰すると定めています。
しかし、人を殺したら罰せられるというだけであり、人を殺すことが可能か不可能かでいえば、可能です。
実行したら罰せられる(準備段階で殺人予備罪ですが)というだけで、物理的には可能です。
生成AIも、法律によって禁ずれば無くなるかといえば、法律を気にしなければ実行し続けられるので変わりません。
一方で。
「技術上仕方がない」は、「だから何もしなくていい」ではありません。
「技術上仕方がないが、このままでは人の心が荒んでしまう」というものは、
たとえそれが正義であっても、立ち止まり、方向を変えるべきです。
刀であれば、市販するのは模擬刀であって実際には切れないものにするとか、特に鋭いものは書類審査を要して物理的に使えなくなくするとか、そういうアプローチが必要です。
生成AIの話でいうと、おそらく生成AIの世界を統括する業界団体を作るべき時代が来ているものと思います。
生成AI業界で、生身の人間が作り出したものとの共存を検討するべき時代だと思っています。
非常に残念なことに、そのような動きは全く見られません。
技術者が「やってることは合法だし技術上仕方がない」と開き直っているように見えます。
かつてのインターネットは技術者たちによる自浄作用が働いていたのですが、この分野については全く働いておらず、非常に残念です。
SNSは人と人とのつながりを作る場です。
人と人とのつながりの主役は「人」です。
人は理論では動きません。感情で動くものです。
感情を傷つけるものをケアするということこそが、SNSが現実世界とは別の「街」を提供する価値であると思っています。
自分も技術者なのでやってしまいがちですが、「理論上正しいからやってもいい」は誤りです。
理論上、法律上何の問題もなくても、やってはいけないことは存在します。
これを道徳といいます。
技術者は、道徳を身に着けていただきたいと思います。
…翻って、先ほども申し上げたとおりですが、
技術者以外の方においては、所詮道徳は破られるものなのはインターネットでも現実世界でも同じと心得てください。
人類全員に道徳があればテロだったり繁華街に車で突っ込んだりしませんから。
諦めなければならないときも来る、というのは申し添えます。
各SNSの所感
そういう観点で、ここからは各SNSについて、所感を並べてみます。
技術的な面とそうでない面が入り乱れています。
X
言わずと知れた世紀末。
形式としては中央集権型です。
デメリットは経営者の気分次第でどうとでもできること。
メリットは情報操作さえなければ、すべてのユーザーが一発で繋がれること。
そしてXは、今もなお日本最大のSNSであるのが一番の強みです。
ブラジルをはじめ、裁判所レベルで利用を禁じている国も出てきています。
(ブラジルとXは和解し現在は解除されています)
とはいえ、日本人にとってはただちに利用をやめる理由はないでしょう。
生成AI問題があったとはいえ、創作界隈だけであり、そうでない市民には脅威は特にないでしょう。
経営者が政治的に偏っているとはいえ、正直日本人にとっては対岸の火事でしょう。
広告出稿が減っているとはいえ、それは米国であり、日本企業が減っているようには見えません。
かつて日本を中心に黄金時代を築いたSNSというのはそう簡単に崩れるものではないと思います。
おそらく2025年も、日本ではSNSの中心になり続けるでしょう。
Bluesky
乗換先候補として最近一番推されるやつ。
先述の通り、画像はここに上げると安全というのは嘘なので注意。
分散SNSではあるものの、技術的に言えば事実上中央集権なので、Xと感覚はそんなに違いません。
中央集権の脅威に晒されているというのもXと同様です。
公式の仕様変更によりユーザーが一喜一憂しています。Twitter黎明期もそうでしたが。
とはいえXではないので、センシティブ画像は絶対フラグをつける、などという独自ルールは守りましょう。
技術上は、中身の安全度は昔でいう「Yahooジオシティーズに自分のホムペを作る」のと同じぐらいです。
運営が支配はしているものの、内容自体は自分が自由に管理できる仕組みになっています。
あまり表面化はしませんが。
データはBluesky公式に預けることもできますし、現在は自分が管理するサーバーに置くこともできます。
これがBlueskyの現段階での「分散」です。
自分が管理するサーバーに置いた投稿は、たとえBlueskyから除外されたとしても、自分が管理するサーバーからは消えません。
ただし、現在のところ、Blueskyのモデレーションがかかっていないタイムラインは実質存在しないと言えるので、Blueskyから除外されたら誰にも見られなくなります。
だから「事実上中央集権」。
地味ですが、Blueskyは公式アカウントが公式であると最も表明しやすいSNSです。
ユーザー名にドメイン(サイトのURL…たとえば自分ならこのブログと同じ @pokete.com
です)を使えますが、名乗るためにはドメインにちょっと細工をする必要があります。
ドメインに細工ができるのはドメインの持ち主…つまりそのドメインを使っている本人しかいないから、偽物は現れない という理論です。
XはX社所定の手続きが、Misskey/Mastodonは自社でのサーバー管理が必要ですが、それと比べると手間数がかなり少ないです。
有名企業は根回しで逆に大変かもしれませんが……中小企業や個人は間違いなく有利です。
Misskey.io
所謂「Misskey」と呼ばれるサイト…いや、Misskeyじゃないです。Misskey.ioというサイト名です。
我々Fediverseユーザーは略して「io」と呼んでいます。
ActivityPubという分散技術における日本の権威です。
右に出るサーバーはいませんし、今後も出ないと思います。
人口が増えに増えた結果、限界ギリギリ状態で運営を続けています。
たまにぼやいていますが、Misskeyというプログラムはioの現在のユーザー数を支える想定をしていないと思います。Misskeyのアルゴリズムの限界を超えています。
いかにも子供っぽいSNSというのは相違ないでしょう。
安い酒場みたい、ともいえます。
ちなみにしゅうまい君の現在の避難先はMisskey.ioです。
Twitter時代と変わらず、元気に理解不能なノートを繰り返してくれています。
リプライがほとんどないのが寂しいですが、リアクション芸とは合ってます。
Fediverseという世界を意識せず、ある程度ユーザー数が多い新たなSNSを求めるなら、Misskey.ioは十分アリかと思います。
人数が非常に多く、各分野で活躍する人も集まりがちなので、集合知としてはそこそこのものを望めます。
つまり、ここも事実上中央集権です。
ioというSNSで、io運営陣の管理のもと暮らしていくことになります。
その他ActivityPub系(Misskey:にじみす等々、Mastodon:mstdn.jp等々)
私がモデレーターをしているいかすきーもココ。参加しているイカトドンもここ。
io以外のActivityPubサーバーはかなり小さいコミュニティを築いています。
これらも要するに中央集権と言えます。
外との関わりをしたほうが情報収集は捗りますが、プログラムの原理上、Misskey/Mastodonの機能だけで外と関わろうとするのは非常に困難です。
友達の友達は分かるけれども、それ以上の赤の他人を知る手段が存在しないのです。
ただし、中央集権というよりは、内輪コミュニティと呼んだほうがいいかもしれません。
ある程度規模が大きければそこをメインSNSとして活動できるかもしれませんが、
メインとはせず、界隈の同志と話をしにくるだけのユーザーもかなり多いです。
好きな界隈のインスタンスを見つけたら、とりあえず登録してみて様子を見てみるのはいいかもしれません。
界隈Discordサーバーに参加するみたいな軽率さで十分です。
本腰を入れて、いままでXで出来ていたような多種多様な使い方をするぞ!は難しいかと思います。
例外ActivityPub:Fedibird、または独自インスタンス設立
Misskey/Mastodonは独自でサーバーを立てることが可能です。
当ブログにも立て方の記事があります。
独自インスタンスを立てると、自分が思うがままにデータストレージを指定できます。
FedibirdというMastodonサーバーは、実質独自インスタンスを立てるのと同じ感覚です。
Fedibirdは投稿データは管理者(のえるさん)の手元にあるといいう点は違いますが。
そのぶん、(のえるさんのご厚意で)無料でActivityPubを体験できます。
これらは中央集権ではなく分散型と言えます。
独自インスタンスには自分しかいないので、他人と繋がるためには何らかの手段で他人のアカウントを見つけ、フォローし、TLに流していく必要があります。
これを繰り返して、自分のサーバーと他所のサーバーとのコネクションを広げていきます。
ActivityPubの技術が可能にしたこと、およびActivityPubが本来望んだ世界はコレです。
Fedibirdはそういう名のMastodonサーバーですが、ActivityPubが本来望んだ世界を楽しめるようにカスタマイズされていて、Fedibird内で完結するタイムラインが存在しません。
内部連絡用にはハッシュタグ検索を使っているようです。
独自インスタンスのメリットは、誰にも支配されないことです。
私がSNSの管理者なので、管理者特権を思うままに行使できます。検閲も自分のポリシーの赴くままで問題ないのです。
サーバーを借りているならそこの規約には縛られますが。
デメリットは、誰にも支配されないのであらゆる荒らし行為から自衛しないといけない点、
そして自分が他人とつながる努力をしないと誰ともつながらない点です。
前者は、ActivityPub界隈には定期的に無差別リプライテロが発生していますが、
これらの対処をしてくれる管理者は自分なので、自分がするほかありません。自分がせっせと先方へ通報したり、投稿削除したりする必要があります。
後者は、ActivityPubは仕様上「自サーバー内の誰かの友達」までしかTLに流れてこないため。
自サーバー内に自分ひとりだけの場合、よそのサーバーの情報を手に入れるなら、自分がよそのサーバーの人をフォローしないといけません。
ioのしゅうまい君をフォローする、など。
これはリレーサーバーに入るとなんとかなりますが、リレーの仕組みは個人鯖にしか認知されていないようです。
超小規模なコミュニティサーバーが入っていることもありますが、そこの人たちは「リレーで見ず知らずの人にリアクションされる」ということをあまり認知していないようで、フォローすると途端に切られたりすることも。
ちなみに個人サーバーである私の事実上メインアカ、 @gorou12@mstdn.pokete.com
はいつでもあなたのフォローをお待ちしております。
硬いことしか喋らないけど。
Bridgy Fedというもの
Bridgy Fedというものがあります。
これはActivityPubとBluesky(ATProtocol)を相互変換して橋渡しするサービスです。
Blueskyの投稿がMisskey/Mastodonに流れてきて、その人をフォローしたり、いいねしたりできます。
反対にMastodonの投稿がBlueskyに流れてきて、その人をフォローしたり、いいねしたりできます。
ActivityPubの仕様グループでもBluesky開発陣でもない、第三者が作ったサービスです。
なので、ずっと存在するとは思わないほうがよく、また正しく動き続けるとも思わないほうがよいでしょう。
実際、投稿がたまに抜け落ちることがあります。
全投稿を時差なく確実にコピーしてもらえるわけではないというのは最低限、心得ておきましょう。
ちなみに使い方は、
【ActivityPubのユーザーの場合】
自分のアカウントで、@bsky.brid.gy@bsky.brid.gy
をリモートフォローします。
そうするとそのアカウントと相互フォローになります。
これで、Blueskyに @[ユーザー名].[ActivityPubドメイン].ap.brid.gy
というユーザーが生まれ、これがBlueskyでの自分の分身として活動します。
例: @gorou12.mstdn.pokete.com.ap.brid.gy
←自分のMastodonのブリッジです
【Blueskyユーザーの場合】
自分のアカウントで、 @ap.brid.gy
をフォローします。
そうするとそのアカウントと相互フォローになります。
これで、Misskey/Mastodonから見える場所に @[ユーザー名]@bsky.brid.gy
というユーザーが生まれ、これがActivityPubでの自分の分身として活動します。
例: @pokete.com@bsky.brid.gy
←自分のBlueskyのブリッジです
Threads
言わずもがな、Meta社による中央集権です。
ユーザー登録数はXに次ぐ?というのを聞いた気がします。
とはいえ、Instagram登録ユーザーをそのまま誘導しているだけなので、アクティブユーザー数は大した数ではないらしいです。
X社が信用できなくなったから他の巨大テック企業に行く!という場合は、現状はThreads一択でしょう。
その他の巨大テック企業、すなわちMeta以外のGA(F)AMはSNSを運営していません。
(※GAFAMのFがFacebook、現Meta。GAFAMのMはMicrosoft。)
ActivityPubと連結できるようになった!といわれていますが、
実際はThreadsのActivityPub対応はほとんど出来ていません。
ThreadsからMisskey/Mastodonへの配信の一方通行のみです。
投稿へのリプライを除き、逆方向は見れません。
また、ThreadsがActivityPubに流入することで場が荒らされる、または通信トラフィックが増えてサーバーがパンクすることを恐れて、通信をブロックしているMisskey/Mastodonサーバーもあります。
なので、ActivityPub対応というのはちょっと厳しいです。
Nostr
設計上、完全に分散化したSNSを作り上げています。
いや…個人的にはSNSとは呼びにくいですが。
今のところ、技術者たちの遊び場の域を出ておらず、万人に勧められるSNSではないです。
Nostrはたくさんのサーバーから構成されていて、各サーバーには管理人が存在します。
Misskey/Mastodonの個人サーバーとは違い、こちらは個人で建てるというよりは、誰かのサーバーに相乗りすることが一般的です。
なのでその管理人に支配される中央集権……と思いきや、
Nostrは1サーバーだけに依存せず、複数サーバーに依存するのがデフォルトの使い方です。
つまり、サーバーAの管理人がNOと言った投稿も、サーバーBの管理人がYESと言ったから、サーバーBの配下のクライアントは普通に見れる という事象が発生します。
管理人の権限は地方分権…ですらなく、自治会レベルでしょうか。
ActivityPubと同じく、自分の目の届く範囲のユーザーしか繋がり合うことはできません。
むしろさらに酷く、ActivityPubはプロトコルさえ同じであれば世界中どのユーザーともフォロー関係になれますが、Nostrは仕組み上、最低1つは同じサーバーに接続していないと繋がることができません。
(サーバー同士がウラで橋渡しされている場合もあるが、その特定は困難)
メリットは、Nostrは真の自由の世界です。
自らActivityPubサーバーを立てなくとも自由を謳歌できます。
止める者はいません。
デメリットは、悪人にとっても自由の世界であることです。
たとえあなたの作品を盗用する人がいたとしても、あなたも誰も追放できません。
あなたにとって気に入らない、粘着する人がいたとしても、あなたはブロックできないし、誰も助けることはできません。
(※クライアント単位でのユーザーミュートは可能なことが多いです)
(※リレーに通報することは可能ですが、その通報に対応するかどうかは分からない上、いたちごっこになり管理者に見向きされなくなる可能性が高いので、自衛が大前提です)
真の自由、真の平等は、善人にも悪人にも平等な世界なのだということを理解しないと生きていけません。
その他、普通のSNSと違う点は以下の通り。
- 投稿の削除が保証されていない
- 仕様上はActivityPubと同じで「削除してほしい」という信号を伝達して消していく仕組み
- しかしActivityPubと違い、その削除依頼が叶わないケースが数多くある
- 投稿がずっと保管されている保証もない
- リレーサーバーは別クライアントへの橋渡しをするためであり、データを蓄えている場所ではない
リレーサーバーの管理人が投稿を消すのはNostrの仕組み上自由 - データストレージ役のサーバーが存在しないので、全リレーから消えてしまえば投稿はすべてなくなる
- 「投稿」以外にも「フォロー」「いいね」、挙句の果てには「プロフィール情報」も、投稿と全く同じ形式でやり取りをしているので、これらもずっと残る保証はない
- リレーサーバーは別クライアントへの橋渡しをするためであり、データを蓄えている場所ではない
- 公式クライアントというものがない
- 公式が作っているのは「仕組み」でしかない
「インターネット」というものに「公式」がいないのと同等。 - 読み書きするソフトウェアは全て非公式。
- 公式が作っているのは「仕組み」でしかない
ということで繰り返しですが、個人的にはこれはSNSとは呼びにくいものです。
ちなみに自分を自分だと証明するやり方は、Blueskyの次にやりやすいです。
Blueskyと違いWebサーバーが必要なことは難点。かつ、見た目の分かりやすさはBlueskyには劣ります。
結びです。
ここまでを書いていて思いましたが、気が付いたらSNSがたくさんできていました。
SNS戦国時代です。
いや、いままで天下統一していたTwitterが奇跡だったのかもしれません。
TwitterはSNSというものを切り開いた偉大なる先駆者です。
後を追う者たちは、Twitterにプラス何かを足すほかありません。
その関係で、Twitterと全く同じものが天下を再統一することは無いように思えます。
そのようなことはもう二度とないような気もします。
残念ながらTwitterは既に崩落しました。
少なくとも国外では崩落しています。
このまま各SNSに散らばっていき、全世界1SNSとなる日はおそらく来ないだろうと思っています。
とはいえ…日本でいうと、先述の通り、日本人がTwitterを離れる理由はまだ特にないことから、
2025年も日本市場はこのままXに頼りきる文化が続くのでは?と思っています。
ワンマン経営者が思いつきで変なことをするたびに離脱者がポツリポツリと出るとは思われますが、
それこそ米国の広告会社が一気に手を引くとか、ブラジル最高裁がXの使用を禁じるとか、そういった事態は日本では起きないと思っています。
そしてそれが起きない限り、何年も何年も、日本人が一番よく使うSNSはXになるんじゃないでしょうか。
かくいう私も、公的機関の情報発信はXにしかされないものですので、Xをたまに巡回しています。
公的機関が最後の砦かな、とは思います。
仮に公的機関が移動するなら、運営団体が得体の知れないBlueskyよりは、運営がMeta社とハッキリわかるThreadsが有力かもしれません。
日本ではmixiを機に発達したソーシャルネットワーキングサービスという仕組み。
その勢いで海外からやってきたTwitterが大きく伸ばし、今に至ります。
今一度、技術者にはSNSとは一体何であり、何ではないのかを考えてもらいたいなと思います。
技術者として楽しいものを作るのは当然ですが、
一方でTwitterを追われ、外に放り出された市民がたくさんいるのも事実です。
技術者が自己満足で終わるのではなく、公共の福祉に貢献できるのは一体何なのだろうか。
私も考えていきたいなと思います。
2025年は、SNSライフを送る皆さんに幸多からんことをお祈りします。
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